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この特集は、相馬直樹によるサッカーの特集です。日本代表DFとしても活躍した相馬氏ならではの視点、切り口によるW杯の試合をはじめ、国内Jリーグなど国内外の試合レポート、見どころなどをお届けします。
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2007年04月30日
基点をどこに置くか ~川崎vs千葉~綺麗に青く晴れ渡った4月30日、Jリーグ第8節川崎フロンターレvsジェフユナイテッド千葉の一戦を解説してきた。ここまでACLを含め順調に来ている川崎と、スタートでは躓いたもののようやくジェフらしいサッカーで勝利をつかめるようになってきた千葉との対戦であった。 この日は両チームとも試合前にアクシデントが起こる。川崎は前日のTR中に、ゲームキャプテンのMF中村(No.14)が首を痛め、この試合を欠場。河村を代わりに起用してきた。スタメンはGK川島(No.1)、3バックに箕輪(No.5)、寺田(No.13)、伊藤(No.2)。中盤はその河村(No.6)と谷口(No.29)がダブルボランチを組み、右・森(No.19)、左・村上(No.26)の両アウトサイド。トップ下にはマギヌン(No.11)、2トップにジュニーニョ(No.10)とチョン・テセ(No.16)という布陣でのスタートとなった。 対する千葉は、ウォーミングアップ中にDFジョルジェビッチ(No.40)が足の痛みを訴え離脱。前節の負傷箇所の回復が十分でなかったようで、急遽斎藤(No.3)が起用されることとなった。スタメンはGK立石(No.1)、3バックはその斎藤(No.3)と、ストヤノフ(No.5)、水本(No.4)。中盤は下村(No.6)、佐藤(No.7)のダブルボランチに、右・水野(No.8)、左・山岸(No.16)のアウトサイド。前線は巻(No.18)のワントップに羽生(No.22)、工藤(No.20)の2シャドーと、前線の構成こそ違いがあれ、両チームともに3バックでぶつかり合うこととなった。 前半は、風上に立ったジェフのペースでゲームが進んだ。キックオフ直後こそ、森の高い位置でのチェイスからチャンスを作るなど、川崎がいきなりゴール前まで入り込んだが、その後はジェフが主導権を取った。 ジュニーニョvs水本のマッチアップ 千葉はまず守備からリズムを掴んでいった。全体的にマンツーマン気味の厳しい守りが川崎の攻撃陣を苦しめていた。特に水本のジュニーニョへのマンマークは強烈だった。青の10番がどこへ行っても黄色の4番が必ずいた。ジュニーニョは中盤に下がって、不在の中村の代わりにゲームを作ろうとしたが、水本のタイトマークの前になかなかボールを触ることが出来ないでいた。 川崎はボランチの位置でゲームを作る中村がいない分、出来るだけ前に基点を作って攻撃を組み立てたかったはずだ。だが、ジュニーニョだけでなく、チョン・テセには斎藤、マギヌンにも下村と、前線の3人に対してのマークがとても厳しく、前半は攻撃の糸口すら掴めなかった。そういった意味では、中村不在の影響がモロに出てしまった前半であったと言える。 対する千葉は押し気味にゲームを進めるものの、ゴールを奪えない。序盤に佐藤が抜け出してGK川島と1対1になったシーンや、山岸の左からのクロスに飛び込んだ巻のシュートなど、何度かいい崩しを見せたが、決め切れなかった。 千葉の攻撃の狙いは大きく2つ。一つはストヤノフのゲームメイクだ。特に遅攻になったときには、ボールを動かしながらリベロのストヤノフをフリーにして、攻撃を組み立てさせる。いつものジェフのやり方だ。もう一つには前線が動きまわることでリベロの寺田を引き出し、その裏を突こうという狙いで、佐藤が抜け出したシーンはこの崩しであった。この狙いもジェフらしい形ではあるが、川崎の特徴を捉えながら強調してきていた部分でもあった。最終ラインで余るというよりは、コンパクトにするために人を捕まえに来る寺田のプレーを考えた上での狙いであったはずだ。 攻撃の基点を変えてきた川崎 両チーム無得点のまま迎えた後半は、まるっきり反対の展開となる。千葉の運動量が落ちてきたことも影響したが、後半の川崎はボールを動かせるようになり、ゲームを支配したのだった。 そのリズムを取り戻せたポイントは、ボールが前に入るよりも先に、人が前に入るようになったことだった。前半はいつもの川崎らしく、ボールが前に入ったところをすばやくサポートして連動していこうとしていた。だが千葉のマークの厳しさや、縦パスの少なさ(ここにも中村不在の影響あり)などが重なって、そのパターンを出すことが出来なかった。そこで後半は、より前で受ける位置に入って、ボールより前に人が多くいる状況を作るようになったのだった。そうすることで寺田、河村あたりが後ろからボールを運びやすくなり、後ろからゲームを作っていけるようになったのだ。そうして後ろでボールを落ち着かせてフリーの選手を作り出し、その選手が仕掛けていくことでリズムを取り戻していったのだった。 まさに象徴的なのは後半9分の伊藤のドリブルから作ったチャンスだ。千葉の選手がそれぞれ自分のマークを抱えているためにボールを持っている伊藤に対して誰もチェックに行かない。伊藤はハーフラインから何の抵抗も受けずにペナルティエリアまで入り込んだのだった。最後はリベロのストヤノフの対応でシュートまでは行かなかったが、まさにマンツーマンのウィークポイントをうまくついた形であった。 こうしたプレーが続いていく中で徐々にマークがずれることが増えてきて、ジュニーニョ、マギヌンといったあたりも前を向いて仕掛けられるようになってくる。こうなると川崎のペース。前半のリズムの悪さ、ACL含めた連戦の疲れなどを考えると、後半は厳しいかなと思っていたが、完全に流れを取り戻していた。 そうした流れの中、森の右からの素晴らしいクロスにファーサイドで待っていたチョン・テセがヘディングでたたきつけて、川崎がリードを奪った。75分過ぎの村上のヘディングも決まっていれば、ゲームは終わっていたといってもいいほど川崎のペースでゲームは進んでいた。 だが流れが結果に直接結びつかないのがサッカー。千葉が残り10分をきったところで、セットプレーから同点に追いつく。左サイドのいい位置でのFK。水野が右足で蹴ったボールは、スピードこそなかったものファーポストに向かう正確なボール。誰かが触ればゴール、誰も触れなくてもゴールというようなコースに飛んでいった。それでも川崎の守備ラインをもう少し高く保てれば、GK川島がボールに直接アプローチできたのだろうが、あれだけ混戦の形になってしまっては川島には難しい状況となってしまった。 結局1-1の同点。最後に追いついた千葉と勝ちきれなかった川崎。そういった意味では千葉の方が満足感は大きいかもしれない。とはいえ川崎は4月の連戦を負けなしで乗り切ったことは非常に大きい。この日は苦しんだものの、特に後半、中村を欠いた中でも川崎らしいサッカーを見せられたことは、今後も続く連戦に向けて大きな自信となるはずだ。 アウェイでポイントを奪った千葉は千葉で、納得できるところかもしれない。実際に最後は10人になりながらも(交代枠を使い切った中でストヤノフが負傷退場)奪った勝ち点1は大きい。だが巻、ストヤノフという主力の負傷は、非常に痛いはず。ナビスコカップも含めて今週、来週と連戦が続くが、攻守の核となる選手を欠いた中でも、前半のような内容を見せることが出来るのか。特にあれだけの厳しいマーキングを見せることを、今後上位に顔を出すためにも求められてくるだろう。 両チームともこのゲームで掴んだものと失ったものがそれぞれあるが、このゴールデンウィークの連戦の中で、生かしていってもらいたいものである。
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