Go Top
この特集について
Sports@nifty > スポーツレポート > サッカー特集by相馬直樹 > 祝 J開幕 ~川崎vs鹿島~
この特集は、相馬直樹によるサッカーの特集です。日本代表DFとしても活躍した相馬氏ならではの視点、切り口によるW杯の試合をはじめ、国内Jリーグなど国内外の試合レポート、見どころなどをお届けします。
この特集は携帯サイトでもご覧いただけます。
モバイル版 Sports@nifty
プロフィール
オフィシャルサイト
関連リンク
ココログ






ココログ: blogサービス
「サッカー特集by相馬直樹」は @niftyのウェブログ(blog)サービス「ココログ」で運営しています。あなたもココログ始めてみませんか?ココログ(フリー)は、だれでも無料でご利用いただけます。
ココログって何?
ココログ使い方ガイド

サッカー特集by相馬直樹

祝 J開幕 ~川崎vs鹿島~

 3月3日、ついに幕を開けた15年目のJリーグ。その中でも注目のカード、川崎フロンターレvs鹿島アントラーズの一戦をレポートしてみよう。僕自身が在籍したチーム同士による開幕戦ということで、等々力まで足を運ぶ予定だったのだが、情けないことに体調を崩してしまい、泣く泣くテレビ観戦ということに。スタジアム観戦でないということで、不十分なところもあるかもしれないが、ご了承いただきたい。

 昨季2位と大躍進したフロンターレのスタメンは、GKに名古屋から新加入の川島(No.1)、最終ラインは箕輪(No.5)、寺田(No.13)、伊藤(No.2)の3バック。右アウトサイドには森(No.19)、ダブルボランチに中村(No.14)と谷口(No.29)、左には仙台から移籍してきた村上(No.26)が入る。攻撃陣はトップ下にマギヌン(No.11)、2トップにジュニーニョ(No.10)と我那覇(No.9)が並び、昨年同様に3-5-2の布陣で臨んだ。

 対するアントラーズは、GK曽ヶ端(No.21)、最終ラインは伝統の4バックを採用し、右に内田(No.2)、中央に岩政(No.3)と新外国人ファボン(No.5)、左に新井場(No.7)の4人で構成。中盤はワンボランチ気味に青木(No.15)を起用して、右に中後(No.16)、左に本山(No.10)、そしてトップ下に新外国人のダニーロ(No.11)を置くダイヤモンド型。そして2トップには清水から移ってきたマルキーニョス(No.18)と柳沢(No.13)が先発してきた。

 序盤、リズムを掴んだのは鹿島だった。ロングフィードを多用した面もあったが、それ以上にマーキングの厳しさで川崎の選手たちの自由を奪い、ボール支配を高めていった。ルーズボールに対する反応が非常によく、1人だけでなく、2人、3人と一斉にボールを囲みに来て、ボールを奪っていく。最終ラインも岩政、ファボンとストッパータイプのCBが揃っているだけあって、前で前でと厳しくガツン、ガツンとぶつかる。

 このあたりの厳しさは昨年までの鹿島に足りなかったところだと、オリヴェイラ新監督が判断したのかもしれない。両SBの内田、新井場も、下がってボールを受けに行くジュニーニョに対して、タイトなマークを見せ自由を与えない。人に強い中後、身体能力の高い青木と、中盤でのファイトにも負けないメンバーを揃えてきたことからも、そのあたりの狙いはうかがえた。

 しかし、川崎も簡単にはゴールに迫らせない。こうしたタイトな人に強い守備は川崎の代名詞といってもいい。押し込まれてはいたものの、3バックの強さと高さ、そしてダブルボランチのルーズボールへの反応、その球際の強さで、ペナルティボックス付近では鹿島攻撃陣を自由にさせない。両チームとも、ゴールに対して背を向けてボールを受けた選手へのプレッシャーがすさまじく、気の抜けない激しい中盤での攻防が繰り広げられていった。

 こうしたなか10分を過ぎたあたりから、徐々に川崎がリズムを取り始める。ポイントは我那覇のポストプレーであった。この日の我那覇はなかなかゴールに向かってプレーすることが出来なかったが、この時間帯での彼のキープ力がチームを救ったのは間違いなかった。前に前に出てくる鹿島DF陣の圧力に負けて、下がってボールを受けに行ってつぶされてしまっていたジュニーニョ。それと対照的に最前線で踏ん張って、ボールをキープする我那覇。その彼の働きが中村や両アウトサイドのプレースペースを作り、時間を作っていたのだった。

 まずそのキープに反応したのが両サイド。特に左に起用された村上の積極性が目に付いた。アントラーズの4バックはサイドバックも含めて人につく意識が強かったため、後ろから出てくる選手に対しての対応が遅れていた。また右MFの中後はボランチ気味に中央にスライドすることが多く、左MFの本山は攻撃的プレーヤーといったことの影響もあっただろう。右アウトサイドの森も含めて、楔からサイドをうまく使ってボールを前に運べるようになっていった。

 そこまでDFラインの前で窮屈そうに前へ出るのを我慢していた中村も、我那覇のキープがうまくいき始めるとスルスルと上がり始める。まさにこの形から生まれたのが、この日唯一の得点だ。21分、右サイドでの森のスローインを受けた我那覇が、3人(4人?)に囲まれながらもジュニーニョへ、そこへ後ろから入った中村が受けて、ミドルシュートを打つフリから、左サイドの村上へ出す。このシュートの姿勢を見せたことが村上に右足へ持ち変える時間を作り、村上は余裕を持って利き足の右でクロスを入れる。そのボールに対して全くのフリーで飛び込んだマギヌンが、落ち着いてヘディング。今シーズン初勝利を手繰り寄せる貴重な先制点が決まった。

 鹿島とすれば最後の場面でマギヌンがフリーであったことが問題となろうが、あの場面でマークしなければならない選手が本山。彼にそれを求めるのはかわいそうだし、そうした形にまで持ち込まれないことの方が大切だった。前述したように、我那覇にボールが入ったところで3~4人で囲みながらも逃がしてしまったことが問題で、人数をかけたときにはボールを必ず取りきるということがこれから重要となってくるだろう。

 しかし現時点での課題は、守備よりも攻撃といえる。これは致し方ない部分であるが、新加入選手が多く、攻撃の軸となる選手ということもあって、コンビネーション不足というのは否定できなかった。まだ攻撃の形というものが出来ていないので、せっかくボールを奪ってもシンプルにボールを運ぶことが出来ていない。基点となるポイントもはっきりしていなかったので、なかなかボックス内まで入り込むことが出来なかった。

 特にもったいないのが、カウンターからの形でゴールまでなかなか迫れなかったことだ。中盤での守備を厳しくしたことでいい位置でボールを奪うケースが増えたし、さらには川崎のCKからのカウンターなど何度かチャンスはあったのだが、シュートまで持ち込めた回数が少なかった。対する川崎はカウンター気味に早くシュートまで持ち込むことが多く、前線の組み合わせが変わっていないスムーズさがあった。

 このあたりが川崎の強さでもある。“継続”を意識してきた川崎は、昨年から変わらぬ攻めの形を見せる。中村がゲームを支配しながら、両サイドがボールを運ぶ。その中で中村からジュニーニョ、我那覇への縦のパスが入る。この日も2度ずつその2人にいい形でのスルーパスを供給した中村。この日の攻撃で違ったのは谷口が守備に専念した形で、前に飛び出さなかったことぐらいだろうか。

しかし中村への依存度があまりに高まると、それによるリスクも抱えることになる。もちろん中村不在というのが一番痛い。が、別の形での危険もある。この日、鹿島がカウンターからシュートに持ち込んだ2つのケースは、中村が狙われてボールを失ったところから。チーム内での信頼感が高いからか、預けたときに守備の準備ができてないことがあり、このあたりはこれからの課題となってくるだろう。

終盤“0”で終わることを意識して、1-0というスコアできちんと終わらせたフロンターレ。昨季の反省からチーム全体で守備意識を高め、確実に勝ち点3を掴んだのは価値のあることだ。チーム全体としての“継続”が“熟成”へと進んでいる勝ち方でもあった。水曜にアジアチャンピオンズリーグも控える川崎とすれば、今シーズンに自信の持てる開幕戦であっただろう。

一方、開幕戦に強いアントラーズとすれば、このゲームを落としてしまったのは残念なところであるが、現状とすれば致し方のないところであった。中盤での厳しさなど、戦う姿勢が表れていたあたりを含め、決して悪い内容ではなかったが、川崎の“積み重ね”を上回るものがこの日は出せなかった。新外国人のコンディション含めたフィットと、オリヴェイラ新監督のイズムの浸透。このあたりがいつごろ出てくるのか、注目していきたいところである。


| 固定リンク | トラックバック (1)
トラックバック
※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのトラックバックを防ぐために、投稿された全てのトラックバックは一時的に保留されますのでご了承ください。
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/177671/14141510
[フロンターレ] 相馬の視点 【しろ・あお・くろ】
http://somanaoki.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/vs_8cb7.html 開幕戦に対する相馬さんのコメントが出てました。 両チームの特長をしっているだけあって、 内容が奥深い。 ケンゴがミドルを打つふりをしたことが、 村上が右足に持ち替える時間を作った なんて、ぱっと見じ... 続きを読む
受信: 2007/03/06 11:42:19