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Sports@nifty > スポーツレポート > サッカー特集by相馬直樹 > 準備の差 ~ゼロックス杯 レッズvsG大阪~
この特集は、相馬直樹によるサッカーの特集です。日本代表DFとしても活躍した相馬氏ならではの視点、切り口によるW杯の試合をはじめ、国内Jリーグなど国内外の試合レポート、見どころなどをお届けします。
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サッカー特集by相馬直樹

準備の差 ~ゼロックス杯 レッズvsG大阪~

 Jリーグシーズンの到来を告げる2007ゼロックススーパーカップ。昨季一度も勝てなかったレッズをG大阪が圧勝するというのは誰も予想し得なかった展開だったが、ひと言で表現するならば、両チームの準備の差というものが如実に表れたゲームであったといえるかもしれない。

 浦和レッズのスタメンは、GK山岸(No.1)、最終ラインは右に坪井(No.2)、中央に内舘(No.19)、左にネネ(No.5)の3バック。中盤には底に鈴木(No.13)とジェフから新加入の阿部(No.22)が入り、右アウトサイドに平川(No.14)、左アウトサイドには小野(No.8)を起用。前線はワシントン(No.21)のワントップにポンテ(No.10)、山田(No.6)がシャドーの位置に入ってきた。昨シーズン限りで勇退したブッフバルト監督の後を継いだオジェック新監督には、MFアレックスのザルツブルクへの移籍だけでなく、DF闘莉王(No.4)MF長谷部(No.17)FW永井(No.9)MF相馬(No.16)らのケガなど思わしくない状態で最初のタイトル戦を戦わなくてはならず、非常に難しい采配となったに違いない。

 対するG大阪は、GK松代(No.1)、4バックで臨んだ最終ラインは右から加地(No.21)、シジクレイ(No.5)、山口(No.6)、そして左には若い安田(No.13)を起用。中盤は明神(No.17)、橋本(No.27)のダブルボランチに、二川(No.10)、遠藤(No.7)の攻撃的MF。そしてマグノ・アウベス(No.9)、播戸(No.11)の2トップという4-4-2の布陣でスタートした。こちらは移籍したDF宮本(ザルツブルクへ)、五輪代表チームに参加中のMF家長(No.8)や、4バックの本格採用などメンバーを含めて再構成してきたものの、6季目を迎えた西野監督ということでスタイルに変わりはない。

 お互いに厳しくぶつかり合った序盤、G大阪がリズムを掴む。中盤での争いで、明神、橋本の厳しいチェイスがレッズの自由を奪う。特に橋本はワシントンに入ったボールを、シジクレイ、山口と挟み込んで何度か奪うなど、効果的な働きを見せる。対するレッズは鈴木が同じように激しくチェイスするものの、1人では2人を相手にボールを拾い続けることは難しかった。

 またこの日左サイドバックに入った安田の積極性も目を引いた。キャンプ中は橋本が起用されることもあった左サイドであるが、この日はスピードのある若手、安田を起用。もともと攻撃的なプレーヤーなだけに序盤から積極的なポジション取りでリズムを作り出していた。

 だが、10分も過ぎると徐々にレッズの最終ライン、中盤でのマークの厳しさが戻り、五分の展開となってくる。両チームとも中盤での争いが激しくなり、なかなかビッグチャンスが訪れなくなっていたが、迎えた31分、マグノ・アウベスが均衡を破る。

 カウンターから、DFの背後への遠藤のフィードに反応した二川が右足でシュート。これには山岸がよく反応するものの、マグノ・アウベスがそのこぼれ球を押し込む。素晴らしいカウンターであったが、実はその直前のプレーではレッズがカウンターを仕掛けていたのだった。右サイドでカウンターを仕掛けた山田の素晴らしい判断でサイドチェンジをしたのだが、そのボールが風に押し戻されたようになり奪われ、そこからG大阪の“カウンターのカウンター”が始まったのだった。

 相手を引きつけたところで広いスペースへという山田の判断は素晴らしかったのだが、それを台無しにしてしまったこの日の強風をレッズは恨むしかなかった。だがそのチャンスに素早く飛び出した二川と、その動きを見ていた遠藤。そして大事なところで決めるマグノ・アウベス。こうした一発勝負での先制点の重さを熟知している彼らの、素晴らしい集中力が表れた得点であった。

 だがそのあとすぐ、レッズにもこの日最大のチャンスが訪れる。36分、山口と安田の間にポジションをとったワシントンに、左サイドを上がってきたネネからシンプルなフィードが入る。ワシントンは山口の裏で胸トラップをして左足でシュート。しかしボールはゴールから大きく外れ、ゲームを振り出しに戻す最大のチャンスを逃してしまった。ああしたところを決めるのがワシントンであったが、この日はイライラすることも多くカードを受けるなど、開幕に向けて心身のコンディションに心配が残った。

 ワシントンに限らず、レッズの調整不足、準備不足というところは否定しようがなかっただろう。開幕1週間前という時期でのケガ人の多さも問題の一つであるが、このゲームに対して万全の準備を施してきたG大阪とは、現時点では大きな差があった。

結局、後半もプレッシャーをかけられず、遠藤、二川の2人のプレーメイカーを抑えきれない。もちろんこの2人の出来がよかったから抑えられなかったとも言える。どちらも裏への飛び出しをいとわず、それがあるおかげで、足元でボールを受けることが楽になるという好循環を生み出していた。特に二川は攻守両面において素晴らしかった。1点目では素晴らしい飛び出し、2点目はミッドフィールドで阿部、鈴木2人の間をドリブルで切り裂き、豪快なミドルシュート。3点目は前線からのチェイスでゴールを生み出すなど、この大勝を生み出す原動力となったといえよう。

 レッズはなかなかよかった面を書くことが出来ないが、この日は小野を左アウトサイドに置く意味を再確認できたことはよかったのではないか。小野がサイドで前を向いてボールを持つとボックス内までボールを運べることが多く、ボールを下げることもほとんどなかった。この日は加地とのマッチアップであったが何度かドリブルで切り込んだり、守備でも加地に大きな仕事をさせなかったりと、効果的なプレーが出来ていたと思う。アレックスが移籍した今季、左サイドは相馬で確定かと思われていたが、タイプの違う小野のプレーはひとつの大きなオプションとなることであろう。

 ブルズカップでの大敗、そしてゼロックスでも大敗と、昨季掴んだ自信をなくしてしまうような戦いが続いているレッズだが、Jリーグ開幕はもうすぐそこに迫っている。さらには大きな期待のかかるアジアチャンピオンズリーグ(ACL)も来週には始まる。きっと選手たち自身も感じているであろうコンディションの問題を少しでも早く解決した上で、オジェック・サッカーの浸透をしていってもらいたいものである。

 昨季4戦して1度も勝てなかったレッズに圧勝という形で雪辱を果たしたG大阪。とはいえこれが最終目標でも何でもないのは分かっているはず。開幕前のこの時期にこれだけのゲームが出来たことは大きな自信になるだろうし、リーグ序盤に対戦するクラブには大きなプレッシャーがかかったはず。だがスタートダッシュだけではタイトルを獲ることができないのがリーグ戦。このサッカーをどれだけ続けられるのか、さらに進化させていけるのかということが、タイトル奪還への鍵となろう。

 この日戦った両クラブが頂上を争うことになるのか?それともそれ以外のクラブが頂点に立つのか?

いよいよ今週、15年目のJリーグが開幕する。

 

 


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