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Sports@nifty > スポーツレポート > サッカー特集by相馬直樹 > 3トップの功罪~U22日本vsU22アメリカ~
この特集は、相馬直樹によるサッカーの特集です。日本代表DFとしても活躍した相馬氏ならではの視点、切り口によるW杯の試合をはじめ、国内Jリーグなど国内外の試合レポート、見どころなどをお届けします。
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サッカー特集by相馬直樹

3トップの功罪~U22日本vsU22アメリカ~

 今シーズン最初のレポートとして、21日に熊本KKウイングで行われたU22日本代表vsU22アメリカ代表のゲームについて書いてみよう。一週間後の28日からいよいよアジア予選の始まるU22五輪代表。その壮行試合としてアメリカを迎えて行われたこのゲームであったが、惜しい場面をいくつか作りながらも、残念ながらスコアレスドロー。勢いをつけるというよりは多くの課題が出たというのが、このゲームを見た最初の感想だろうか。

チーム結成以来多くの選手を試してきた反町監督。この本番直前の大切なゲームではFWを3枚並べる攻撃的な布陣で臨んできた。GK松井(No.1=磐田)、中央に伊野波(No.5=FC東京)、ストッパーとして青山直(No.3=清水)、水本(No.4=千葉)を揃えた3バック。中盤は中央に本田拓(No.16=法政大)と梶山(No.10=FC東京)、右には水野(No.18=千葉)、左には本田圭(No.8=名古屋)。そして注目の3トップは平山(No.9=FC東京)、カレン・ロバート(No.22=磐田)、そして先日日本人に帰化したばかりの李忠成(No.24=)を起用してきた。対するアメリカ代表はオーソドックスな4-4-2で臨んできた。

序盤、日本は3トップでの連携が効果的で、アメリカゴール前に攻勢を仕掛ける。特に9分に平山が相手ディフェンスラインの裏で梶山からのスルーパスを受けてシュートにまで結びつけたシーンは素晴らしかった。このシーンは3トップだけで連携したものではなかったが、それ以外にも3人がいい距離感を持って互いに連動していく形が多く見られた。

このあたりは対戦したアメリカ代表の状態も関係していた部分もあったかもしれない。アメリカは北京五輪予選に向けてチームを立ち上たばかりであったので、連携が十分に取れていなく、特に最終ラインは日本の3トップの動きに混乱して、なかなかマークをはっきりさせられないでいた。

しかし肝心なゴールが決まらない。アメリカのGKサイツ(No.1)の攻守もあったが、かなり落ち着いて打ったシュートがキーパーの守備範囲に飛んでしまう。この世代だけの問題ではないが、フィニッシュの改善という部分は、これから迎える本番でも重要なファクターとなってくるであろう。

だがそうしたいい時間も長くは続かなかった。アメリカ最終ラインの3トップへの順応もあり、前線に起点を作ることができなくなると、相手FWのチェックにDFラインからの効果的なビルドアップができなくなってしまった。そうしたときこそ後ろからの組立てや、サイドでの起点作りといったものが重要となるのだが、この日はそのあたりに物足りなさが残った。

得点こそ入らないものの、日本ペースのまま前半を折り返す。しかし迎えた後半はアメリカの積極性が目立つ立ち上がりとなった。最終ラインが前半よりも上がり、コンパクトにしてボールへのプレッシャーを強めてきたので、日本はボールをいい形で前に進めることができない。そうしたアメリカのハードワークに対して、日本の中盤での争いではボールへのプレッシャーの甘さが目立ってしまっていた。アメリカのMFクリスタン(No.17)、MFアルバレス(No.9)といった選手のうまさもあったが、もっとボールに対して厳しく行きたいところだった。

だがGK松井を含めた最終ラインでの守備には及第点を与えられるのではないだろうか。特に伊野波は、前半から3バックの裏のスペースのケアだけでなく、前のスペース=バイタルエリアと言われる部分に対しての対応もよかった。また2度ほど受けた非常に悪い形でのカウンターの場面では、冷静に相手のスピードを落とさせる対応をしてボールを奪うなど素晴らしかいプレーを見せてくれた。

序盤いい形を見せた3人のFWは全員途中交代したが、その後も増田(No.7=鹿島)、苔口(No.11=C大阪)、森島(No.20=C大阪)と、3トップの形を最後まで維持していた。このあたりは守りに入られることが予想されるアジア予選を意識したものと思われる。この3トップというシステムでは、いい形を何度か作れたこと、それが3人の絡みの中から生まれたものが多かったことなどからうまくいった部分も多い。しかしそれと引き換えのようにこのチームの大きな武器である両翼、水野と本田圭が輝けなかったということを忘れてはならない。仕掛けることのできる両選手、さらには途中出場した家長(No.14=G大阪)などには、フラストレーションの溜まるゲームであったはずだ。

また試合後に監督から守備での課題が多いという言葉が出たように、中盤のコマが一枚足りない部分もこのゲームでは感じられた。本番まで時間は少ないが、3トップで臨むのであれば、その攻守のバランスを改善していかなければならないだろう。

最後にもうひとつ、平山の好調ぶりに触れないわけにはいかないだろう。僕自身はFC東京でのキャンプでこの日よりもいいプレーを見ているので、もっとできると思うところもある。だが後半の本田圭のFKに合わせたあのヘディングの“高さ”を見せられたら、コンディションは十分と言っていいだろう。あれだけの“高さ”を出せる選手はそういない。多くのチャンスに絡み、多くのシュートを放った平山。あとはゴールだけといったところになろう。

 来週からいよいよ北京に向けた真剣勝負が始まる。この日チャレンジした3トップを採用するのかは非常に興味のあるところであるが、どちらにしても、ここで出た多くの課題をこの一週間で修正して、28日の香港戦でいいスタートを切ってくれることを期待したい。


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