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この特集は、相馬直樹によるサッカーの特集です。日本代表DFとしても活躍した相馬氏ならではの視点、切り口によるW杯の試合をはじめ、国内Jリーグなど国内外の試合レポート、見どころなどをお届けします。
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2006年11月02日
ロナウジーニョ復調の兆しもバルサ勝ちきれず ~バルサvsチェルシー(10/31)~31日(日本時間1日未明)に行われたUEFAチャンピオンズリーグでのFCバルセロナ(FC Barcelona=SPA)vsチェルシー(Chelsea=ENG)の試合をレポートしよう。前回レポートしたように10/18に行われたゲームはホームチェルシーの快勝。その結果をふまえて、この日のバルサはどうしても勝たなければならないという状況にあった。もちろん熱狂的なサポーターの集まるカンプ・ノウということもあるが、それ以上に、ここまで1勝1敗1分と得失点差で2位という乗り切れないチーム状態。実力のあるブレーメンもいるグループで、決勝ラウンド進出のためにはどうしても勝点3が欲しいという日であったのだ。 そのバルサの先発メンバーから見ていくと、前回から代えてきたのはワンボランチのエジミウソン(No.15)のところに、MFモッタ(No.3)を起用してきたことだけ。対するチェルシーは、負傷中のFWシェフチェンコ(No.7)に代わって、FWロッベン(No.16)がトップとして起用されたことだけであった。両チームともシステムを変えず、自分たちのやり方を全面に押し出してぶつかることが予想できるスタメンであった。 勝つために早く先制点の欲しいバルサが、いいスタートを切る。高い位置でボールを奪って速攻という、まるでチェルシーのような形からMFデコ(No.20)が先制点を奪ったのだ。プレスを掛け合ってなかなかボールが落ち着かない時間帯であったが、DFブラルーズ(No.9)が決定的なミスをしてしまった。開始2分という時間、アウェーでの戦いということで、セーフティにプレーすべきところを、無理してつなごうとしてカットされてしまったのだ。もともとCBのブラルーズは、守備に入ればいい仕事をするが、彼がボールを持ったところをバルサも狙い目にしていたのかもしれない。ロナウジーニョ(No.10)とデコのプレスからボールを奪ったのだった。 奪ったボールをデコがドリブルで運ぶと、ロナウジーニョが外を回っていく。右CBのR・カルバーリョ(No.6)は、外を追い越すロナウジーニョにも行ける体勢を作りながらデコを遅らせる。奪われたブラルーズも必死に戻りながら、デコをつかまえようとするのだが、外を回ったロナウジーニョに、これまた気が行ってしまっていたのだろう。それをフェイクに使って中へ押し出したデコに、簡単に切り込まれてしまった。カバーにDFテリー(No.26)が身体を投げ出してくるものの、シャープな右足の一振りから、きれいな弾道の素晴らしいシュートがサイドネットに吸い込まれていった。 ここから両チームとも激しい応酬が続く。前回同様に、いい位置でボールを奪ってそこから素早く攻めきってしまうチェルシーと、ボールを動かしながら相手の穴を探して突破にかかるバルサという、それぞれのスタイルをこの日も見ることが出来た。 そうした中バルサは、前回の対戦での反省点をうまく生かせていたのではないだろうか。右サイドでは完全にメッシー(No.19)がA・コール(No.3)を圧倒。特に中へ切れ込んでいく動きをA・コールが止められない。そして反対の左サイドだ。前回ブラルーズにほぼ完封されてしまったロナウジーニョであったが、まずこの日は、ファウル気味に厳しく来られても簡単には倒れず、戦う姿勢を貫いていた。そして何より目に付いたのが、左SBファン・ブロンクホルスト(No.12)のオーバーラップだ。彼がロナウジーニョを追い越してブラルーズのウラを取りに行くために、どうしてもブラルーズがファン・ブロンクホルストを意識しなければならなくなる。そうしてロナウジーニョへのマークをルーズにして、前を向ける回数を増やす狙いが左サイドにはあったのではないだろうか。 こうすることによって、ロナウジーニョからスルーパスが出たり、デコやMFシャビ(No.6)、メッシーといった選手と簡単にボールを動かすことが出来ていたのである。デコもシャビもスキルの高い選手であるが、最後のゴールに直結するプレーで言えばやはりロナウジーニョにはかなわない。結局2点目も左サイドを破って、決定的なパスをFWグジョンセン(No.7)(グジョンセンの動きも素晴らしかった!)に供給したのはロナウジーニョ。バルサはどうやったら王様ロナウジーニョに力を発揮してもらうか。その一つの方策として、ファン・ブロンクホルストが攻撃時には出来るだけ追い越していくということをしていたのだ。 ただその影響もあって、右SBのザンブロッタ(No.19)はほとんど攻撃参加していない。4バックとはいえ非常に左上がりの3バックに近い形であった。その分チェルシーからすると、カウンターのスペースはいっぱいある。この日はロッベン、MFバラック(No.13)といったあたりに、カウンターから決定的なチャンスが何度か訪れ、それを決めていたら楽にチェルシーが勝っていたかもしれなかったというのは、攻守のバランスという面から考えると見逃せない事実でもある。 チェルシーは後半に入ると、カウンター気味の攻撃だけでなく、オフサイドをくぐって抜けようとする狙いが形になってきていた。この日はFWドログバ(No.11)とロッベンの2トップであったのだが、ドログバの実質1トップに近い。ドログバが最前線のゴールに一番近いところを陣取り、相手の最終ラインを少しでも下げようとしていた。 それに対してバルサはラインをコントロールして駆け引きをしていく。そうした中ドログバがオフサイドポジションに置かれることは多々あったのだが、2列目からロッベン、MFランパード(No.8)といったあたりが入り込んでいくのである。チェルシーの1点目はこぼれ球を拾ったマケレレ(No.4)が相手ラインの裏にループに落として、ランパードが走りこんだ形からであった。一発で決められず、結果難しい角度からねじ込んだランパードのループシュートという個人技も素晴らしいが、相手のラインコントロールを逆手にとって、ウラで受けることが出来たことが、このゴールを生み出しているのだ。 そして、バルサに失望を与えた同点弾は、ロスタイムに生まれたものであった。終盤、J・コール(No.10)を入れてエッシェン(No.5)を右SBに据えたチェルシー、モウリーニョ監督。さらにはロスタイムに入ってからはテリーを前線に上げた。そのSBになったエッシェンの長い距離を運ぶドリブルから、素晴らしいクロスが入り、ファーサイドでフリーになったテリーが折り返して、ドログバのゴールにつながったのだ。エッシェンの右SBなんて考え付きもしなかったが、ブラルーズに代わってロナウジーニョとのマッチアップもきっちりとストップするし、右からのクロスボールのグレードも非常に高かった。前線に上がったテリーも絡んだということも含めて、思い切った采配がゲームを決めたところということになるのだろうか。 これで3位に転落してしまったバルサ。これから迎える2位ブレーメンとの対戦が非常に大切な一戦となることだろう。攻撃では好材料が見られたものの、最後に追いつかれてしまったことを含め、守備は安定感がもうひとつ。攻撃のバルサというスタイルを貫きながらも、守備でも積極的なプレスのできるチームでないと勝ちきれないのではないだろうか。連覇へ向けて、一つの正念場を迎えているといえよう。
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