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Sports@nifty > スポーツレポート > サッカー特集by相馬直樹 > 目立った高い守備意識 ~U-21代表 中国戦~
この特集は、相馬直樹によるサッカーの特集です。日本代表DFとしても活躍した相馬氏ならではの視点、切り口によるW杯の試合をはじめ、国内Jリーグなど国内外の試合レポート、見どころなどをお届けします。
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サッカー特集by相馬直樹

目立った高い守備意識 ~U-21代表 中国戦~

 今回は10/25に行われたU-21日本代表とU-21中国代表とのゲームを見てきたので、レポートしたい。北京五輪を目指す反町監督率いるU-21代表の国内デビューとなった試合である。

 スタメンは、GK西川(No.18)、3バックに青山直(No.6)、伊野波(No.3)、一柳(No.2)、中盤は右から中村北(No.22)、青山敏(No.15)、梶山(No.17)、本田圭(No.8)、ワントップ平山(No.11)に増田(No.10)と苔口(No.13)がシャドーに付いた形だった。対する中国はフラットな4-4-2というオーソドックスなスタイルで、このゲームに臨んできた。

 開始早々、中国の前からのプレスと、こちらのルーズボール処理の悪さなども手伝って、リズムを掴まれてしまう。始まってすぐに自陣右サイド深くでFKを取られて、毛剣卿(No.15)にフリーでヘディングされるなど、非常に悪い立ち上がりであった。

 その後も中国はボールを持つと両サイドのMFが前に張り出して、2トップというよりもほぼ4トップといった感じで、前にポイントを作ろうとしてくる。日本はそれに対してマンマークで対抗。両アウトサイドもマークをしっかりと掴み、伊野波がリベロという形で、ほぼ5バックに近い形で重心が後ろではあったが、守りの形を整えていった。

 このとき大きな負担がかかるのが、二人のボランチ青山敏と梶山のところである。この日のシステムは3-4-3のはずだが、相手ボールになると5-2-3となって、中盤に2枚しかいない状態になってしまうのだ。ここで前の3人が高い位置から追っかけてしまっては、中盤がさらに広くなって、とても2人では支えきれない。シャドーの苔口、増田を上手く使って中盤を埋めながら、ボールへのチェイスもさせる。このあたりが大きなポイントとなるのだ。

 実際、前の3人のチェイスをセンターサークル付近から始めさせ、そこから入ってくるボール、その3人のラインを突破してこようとする相手に対して、的確に2人のボランチが入ることができていた。さらに青山敏は、自分のマークを捨ててサイドで戦っている選手を助けに挟み込みに行って、何度かボールを奪うなど、非常にいい仕事ができていたのではないだろうか。

 こうした動きを支えるのが後ろの3人プラス両アウトサイドの厳しいマンマークだ。2人のボランチが前に前に行こうとしているのだから、彼らの背後が空きやすくなってしまうのだが、そこで簡単に楔を受けられて前を向かれてしまうと、一気に最終ラインは危険にさらされることになる。そうするとボランチは前でボールを奪いに行けなくなってしまうのだ。基本的には青山直、一柳がマンマーカーであるが、相手が引っ張ってくれば両サイドの中村北と本田圭もストッパーの働きをする。さらにリベロのポジションに入った伊野波もうまくマークの受け渡しをしながら、ただ余っているだけでなく、積極的に最終ラインの前に入ってきた相手を掴みにいき、上手くそこでストップしていた。そうした彼らの1対1の厳しさ、守備での厳しさが非常に高いレベルでキープされていたことが、この日の守備の安定感をもたらしていた。

 攻撃に関しては、そうして奪ったボールを早く前に運んでという意識があったのだろうが、序盤のうちは中国が長いボールを結構使ってきたこともあって、ボール奪取位置が後ろになってしまっていた。そこからのビルドアップがなかなかスムーズに行かず、平山へのロングボール頼りというような感じになってしまっていた。

 そうした中、相手CKからの見事なカウンターで、梶山のヘディングシュート(17)で先行すると、落ち着いたボールの動かしが見られるようになる。最終ラインのバランスがよくなり、ボールを奪う位置が高くなってきてからは、両アウトサイドのポジション取りも高くなり、取ったあとのボールを足元で運んでいけるようになっていった。特に苔口の平山へのサポートの距離がよく、カウンターになったときに、彼のスピードを生かしながら、一気にゴール前まで侵入していけるようになっていった。

 後半に入ると、増田が存在感を見せ始める。前半こそ、平山、苔口との関係に戸惑っていたようであるが、前3人で絡むよりも、後ろからのボールを引き出して上手くリンクすることでリズムを掴んだようだった。特に右サイドの中村北との関係がよく、相手のSBとボランチとワイドMFの間で受けて前を向き、中村北が追い越してスピードに乗った形を作るといったことが何回か見られた。彼が相手の最終ラインの前で上手く受けられるようになったことで、落ち着いた攻撃が後半見られるようになったのではないか。

 この日90分通して、攻守ともに目に付いたのが本田圭だ。名古屋でも3-5-2のアウトサイドだけでなく、4バックのSBも経験しているだけあって、守備面での成長が著しい。攻撃力はもともと定評があったのだが、この日は相手のワイドMFをきちんと抑えきる守備面での身体の強さ、ボールを奪ったあとの攻撃への切り替えの早さ、そしてボールを持ったときの技術と、非常に目立っていた。右サイドの中村北も攻守ともに豊富な運動量でレベルの高いプレーを見せてくれたが、この日の本田圭の1対1の強さは期待以上のものであった。

 そしてきれいな形から2点目が生まれた。82分、相手のボールを中盤でカットした梶山が、楔に下りてきた苔口にパスを入れて、そのまま左サイドに抜ける。それと入れ替わるように戻りながら視野を確保した枝村(No.21)に、苔口からボールが落ちる。枝村はスッとライン参加してきた青山敏に横パス。そこをまたオーバーラップしてきた中村北に横パス。完全にフリーとなった中村北はドリブルでボールを運んで、中央の平山めがけてアーリークロス。飛び出してきた相手GKのミスもあって、平山に当たって貴重な追加点が生まれた。

 最後のシーン自体はラッキーな形だが、そこまでの展開が素晴らしかった。ポイントは2つ。ひとつは、ボールをインターセプトした梶山が苔口に預けてそのまま抜けた動きに対して、クロスするように枝村が自陣に戻りながら、前を向ける形を作って苔口からの落としを受けたこと。こうした前後のポジションチェンジによるスペースの利用は、相手のプレスを混乱させるのに大きな効果があった。

 ふたつめは、その枝村-青山敏-中村北と2本の横パスで時間を作ったことだった。1点目もそうだったが、速く縦に攻めることは非常に破壊力があるし、効果的な攻め方である。しかし、単調にもなりやすく、落ち着かせた厚みのある攻撃にはなりにくい。こうした短くてもボールを動かしながら、後ろの選手が走り出す時間を確保するというのが、攻めに厚みを加えるのである。最後のクロスに対して平山、苔口、梶山の3人がゴール前に入って行けたのも、2本の横パスがその時間を作っていたからである。

 こうしたいいビルドアップからシュートまでつなげたシーンは他にもあった。34分のシーンだ。ハーフウェーで伊野波から左の一柳に出す。それを1タッチの強いパスで本田圭の足元に。本田圭は、いいタイミングで縦に流れた増田に合わせて流し込み、もう一度中央にカットインして走りこむと、リターンパスが返ってくる。最後にGKの頭上をループで狙った惜しい形だった。

 ここでの重要なプレーは、伊野波から出たパスが一柳の前のスペースに出たことと、そのボールを一柳がダイレクトで本田圭に強くパスしたことである。一柳の前にボールが出たことで本田圭をマークしているはずの右MF蒿俊閔(No.3)が、遅れながらもアプローチに出て来る。ここで中国はスライドして右SB譚望嵩(No.17)が本田圭にアプローチするが、一柳からのパスが速かったため前を向くことが出来たのだ。そして左前方のスペースに飛び出した増田には相手のCBが引っ張り出される。その空いたスペースに本田圭が入り込んでシュートという形だったのだった。相手のマークのズレを作り出す第1歩目としてのビルドアップ。相手を食いつかせてそのウラを突いていく、という狙いが見られたこのプレーは非常に見ごたえがあった。

 ただ、こうした形は90分を通してみるとまだまだ少なかった印象だ。中国の激しいマークもあったが、カウンター以外ではなかなかチャンスを作れなかった。だがそのカウンターを生み出す非常に意識の高い守備には、これからに向けて大きな期待が持てるところだ。中国という決して弱くはない相手に2連続完封勝利といいスタートを切った反町U-21代表。この後も続くライバル韓国との戦いにも注目したいところである。

 


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